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初級コーティング技術入門

 機械的側面からの追究だけではなく、総合科学との観点から、コーティング という奥深い 技術を真に理解し、マスターしていくために、入門者がまず何を知り、そして 学んでいく必要があるのか。本書は、そのための道標が記された入門書です。  今、「基礎的な技術の理解」が必要とされる時が来ています。新入社員の教 育はもとより、 バブル崩壊以降、リストラや新規採用を手控えてきたことにより、技術者の世 代間格差が生まれたり、あるいは、成果主義の名のもと、日常業務に追われ、 本質的な技術の追究をついついなおざりにしてきたりしまった、そんな声が聞 こえてきます。加えて、団塊世代の大量退職に伴う ノウハウ伝承にはタイムリミットが迫っています。さらには、新たなビジネス 展開の中で、直接のコーティングマシン操作技術者ではなくても、本質的な技 術の概略を把握しておかなければならないなど、そのニーズはさまざまです。  コンバーティングという機能化手法のうちで、今、最も注目を浴び、活躍し ているのが、「コーティング」という生産手法です。しかしながらこの手法は、 メカニックな機械操作の側面のみならず、さまざまな科学的な現象を巻き込ん で完成される生産手法であるが故に、その本質を本当に理解し、操作するのは 難しいとされています。  本書は、2003年12月から全14回にわたって、月刊誌コンバーテックに 連載した『コーティング初講座』をベースに、コーティング入門者の教科書と なすべく、各種のコーティング方式の要点解説、トラブル対策などを大幅に加 筆、また、本書を読み解くに当たってのキーワードとなる用語の解説を付加し、 コーティング入門者に向けての最良の1冊となっています。「コーティングで は、化学、物理、機械、電気など、多くの学問を必要とする」と著者の原崎勇次 氏は述べています。本書で解説されている基礎科学を十分に身につけていれば、 「ほとんどのトラブル対策はこの基本を使って解決できよう」とも述べていま す。であるからこそ、「コーティングは総合科学である」と原崎氏は説いていま す。コーティング技術の本質を理解するためのノウハウ、エッセンスを抽出し、 コーティング入門者はもちろん、すでに経験者であっても、今後、何を学んで いかなければならないか、その指針を示してくれる1冊です。
 


 

はじめに

(1)コーティング技術の特徴

    i   )   コーティングとは

    ii  )   コーティングは基盤技術

    iii )   コーティングは総合科学

(2)個々の集積とシステム志向

    i   )   分析とシステム
    ii  )   コーティングもQCストーリーで
    iii )   若いときの苦労は買ってでもせよ!

     

第1章 界面科学

1.1 表面張力

(1)表面張力とは

(2)付着(接着)

(3)表面張力の温度依存性

(4)表面張力の分子量依存性

(5)分子移動による固体表面の変化

(6)平坦化(レベリング)

(7)静的表面張力と動的表面張力

(8)表面張力勾配

1.2 吸着

(1)競争吸着の予測(偏在法)

(2)高分子の吸着形態

(3)材料の添加順序と塗膜特性

1.3 分散系の安定性

(1)沈降

(2)電気的安定化

(3)立体安定化

 

第2章 レオロジー

2.1 レオロジーとの出会い

2.2 レオロジーとは

2.3 粘度(粘性、粘性率)

2.4 流動曲線

2.5 非定常流と定常流

2.6 弾性

2.7 応力−ひずみ特性

2.8 緩和とクリープ

2.9 弾性率−温度曲線(一般化模型)

2.10 線形性と非線形性

2.11 動的粘弾性

 

第3章 高分子と溶媒

3.1 はじめに

3.2 高分子

3.3 高分子の溶媒への溶解性

3.4 溶媒の揮発性

3.5 塗工液調製の基本方針

 

第4章 塗工液調製装置

4.1 分散機の原理と分類

4.2 ボールミル

(1)ボールミルの特徴

(2)分散効果の要因

(3)振動ボールミル

4.3 サンドミル

(1)サンドミルの特徴

(2)分散効果の要因

(3)サンドミルの進歩

4.4 アトライター

(1)アトライターの特徴

(2)分散効果の要因

4.5 3本ロールミル

(1)分散効果の要因

(2)分散と分級効果

4.6 高速衝撃ミル(Kady mill)

4.7 高速インペラーミル(Cowles dissolver)

4.8 その他混合機

4.9 ニーダー

(1)加圧型ニーダー

(2)双椀型ニーダー

(3)ブレード

 

第5章 コーティング方式

    −操作方法と選択基準−

5.1 はじめに

5.2 コーターの作用と分類

5.3 各種コーティング方式の特徴と操作方法

(1)   正回転ロールコーター

a.  操作法

b.  分裂模様

c.  毛管数(capillary number)Ca

d.  小渦巻とよどみ

e.  リング状模様(うね、ribbing)

(2)   リバースロールコーター

a.  操作法

b.  塗膜厚さ

c.  リング状模様とさざ波状模様

(3)   グラビアコーター

a.  グラビアセル

b.  グラビアコーターのタイプと操作法

    i   )   ダイレクトグラビアコーター

    ii  )   リバースダイレクトグラビアコーター

    iii ) オフセットグラビアコーター

   iv  )   リバースオフセットグラビアコーター

c.  塗工量の要因

d.  ドクター

e.  塗工液の転移と静電グラビアコーター

f.  スムージング

(4)   ナイフコーター

a.  ナイフコーターのタイプ

    i   )   フローティングナイフ

    ii  )   ナイフオーバーブランケット

    iii )   逆ナイフ

    iv  )   ナイフオーバーロール

    v   )   ロールナイフ

b.  うらもれ

(5)   ブレードコーター

a.  塗工量

b.  ブレードコーターのタイプ

    i   )   アプリケーション系

    ii  )   計量系

c.  両面同時コーティング系

    i   )   ビルブレードコーター

    ii  )   ツインブレードコーター

    iii )   Two-streamコーター

(6)   ロッドコーター

a.  ロッドホルダーのタイプ

b.  塗工量と操作変数

c.  ワイヤー・マークの除去

(7)   エアドクターコーター

a.  塗工量と操作変数

b.  トラブル対策

    i   )   スジ

    ii  )   気泡とそれに伴うピンホール

    iii )   裏(うら)回り

(8)   カーテン(フロー)コーター

a.  特徴

b.  塗工量の決定要因

c.  カーテンコーターのタイプ

    i   )   傾斜板カーテンコーター

    ii  )   多層カーテンコーター

    iii )   ロールカーテンコーター

d.トラブル対策

    i   )   膜切れ

    ii  )   スジ

    iii )   気泡

(9)   ファウンテンコーター

(10)  ダイコーター

a.  ダイコーターのタイプ

    i   )   スロットダイ

    ii  )   スライドダイ

    iii )   カーテンダイ

    iv  )   テーブルコーター

b.  操作法

c.  間欠塗工

(11)  キスコーター

a.  キスロールコーター

b.  ビードコーター

c.  トラブル対策

(12)  浸漬コーティング

(13)  スクリーンコーティング

a.  フラットスクリーン

    i   )   特徴

    ii  )   構造

    iii )   機構

b.  ロータリースクリーン

(14)  スピンコーター

(15)  キャストコーター

(16)  スプレーコーティング

a.  従来のスプレー

b.  静電スプレー

(17)  押出コーティング

a.  特徴

b.  構造と操作条件

    i   )   混合

    ii  )   加熱

    iii )   スクリュー

    iv  )   ブレーカープレート、クリーンパック

    v   )   ダイ

    vi  )   加圧ロール

    vii )   冷却ロール

(18)  粉体コーティング

a.  古典的方法

b.  近代的方法

    i   )   流動浸漬法

    ii  )   静電スプレー法

    iii )   特徴

    iv  )   静電スプレーの機構

    v   )   静電スプレーの改良

    vi  )   静電粉体スクリーン法

(19)  電着コーティング

a.  特徴

b.  原理

c.  操作条件

    i   )   前処理

    ii  )   電界の限界

    iii )   電着のpHの管理

    iv  )   排水処理

(20)  含浸機

(21)  真空コーティング

a.  装置

b.  真空蒸着の特徴

c.  真空蒸着の操作条件

(22)  LB法

a.  垂直浸漬法

b.  水平付着法

c.  回転法

(23)  空気同伴

(24)  除電

5.4 コーティング方式の選択条件

5.5 特定項目からのコーティング方式の選定

(1)   塗工液のレオロジーからの選定

(2)   塗膜厚さからの選定

(3)   塗膜表面の平滑性からの選定

(4)   支持体からの選定

(5)   使用溶媒からの選定

(6)   生産性からの選定

(7)   操作技術からの選定

 

第6章 乾燥(成膜)

6.1 液体蒸発の化学工学

6.2 乾燥方式

6.3 トンネル式(スリットノズル)

6.4 エアフローティング

6.5 丸孔ノズル

6.6 高速エアキャップ

6.7 ドラム式

6.8 カウンターフロー

6.9 赤外線

6.10 マイクロ波(誘電加熱)

6.11 電磁誘導加熱

6.12 紫外線(UV)硬化

6.13 電子線(EB)硬化

(1)   加速電圧

(2)   電子電流

(3)   小型EB硬化装置

 

第7章 一般的トラブル対策

7.1 はじめに

7.2 塗工直後のトラブル

(1)   塗液のレベリング

(2)   ベナードセル

a.  現象

b.  解析

    i   )   温度対流

    ii  )   蒸発対流

    iii )   界面活性剤の影響

c.  対策

(3)   はじきとへこみ

a.  現象

b.  解析

c.  対策

(4)   色ムラ

a.  現象

b.  解析

c.  対策

(5)   発泡

a.  現象

b.  解析

    i   )   粘弾性

    ii  )   泡安定物質

c.  対策

    i   )   泡抑制物質

    ii  )   消泡の方法

(6)   ブラッシング(白化)

a.  現象

b.  解析

c.  対策

(7)   ぶつ(Seeds)

a.  現象

b.  解析

(8)   ゆず肌(Orange Peel)

a.  現象

b.  解析

c.  対策

7.3 乾燥工程でのトラブル

(1)   ちぢみ(しわ、Wrinkling)

a.  解析

b.  対策

(2)   わき(Solvent Popping)

a.  現象・解析

b.  対策

(3)   厚肉端部とフレーミング

    (Fat edge and Framing)

a.  現象・解析

b.  対策

7.4 エージング後のトラブル

(1)   滲み出し(Blooming)

(2)   接着不良(Adhesion Failure)

a.  現象

b.  解析

    i   )   接着の要因

    ii  )   内部応力の発生

    iii )   内部応力の対策

    iv  )   内部応力の経時変化と顔料添加…

c.  対策(接着の改善方法)

    i   )   接着剤の選択

    ii  )   コロナ処理

    iii )   プラズマ処理

    iv  )   火炎処理

    v   )   接着促進剤としてのカップリング剤

            の使用

(3)   割れ(Crack)

(4)   白亜化(Chalking)

 

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